どれも、わたし。
一日、仕事してきた。
そうして、主婦して、この時間に至る。
そんな一日だったけど、いろんなわたしが、いたんである。
職場でのわたしは、やっぱり、そこ限定のわたしだと思う。
子どもを相手にしていても、やっぱり自分の子どもを叱るようには、叱れないし。
いろいろ考えるコトもあるし。
帰ってから、ただ「主婦」をしていると言っても、
そこにもいろんなわたしが、いる。
学校へ息子を迎えに行った。(初トワイライトだったので)。
息子の保護者としての、わたし。
部活をやっている娘も、少し見守ってみた。
娘の保護者としての、わたし。
それから、たまたま、顔を合わせた共に子供会の役員を務めるママ友さんたち。
「ちょーどよかった!」
って、ほんのちょっと、立ち話。
みんな、それぞれ忙しいのだけれども、こんな5分も、なんかうれしい。
そうして、帰宅して、怒濤の夕飯作り。
わたしは、決して手際がよくないから、そりゃーもう戦場と化す台所。
今日は、いろいろとトラブルもあって、イライラが最高潮になった。
そんな不器用オンナとしての、わたし。
そんな中、明治生まれの祖母が、いろいろとよけいなコトを言う。する。
「よけいな」って言ったら、いけない。分かってる。
祖母なりに、必死で、この家の役に立ちたいと思ってるんだと思う。
それを思うと、切なくなる。
だけど、ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。
笑うコトが出来ない。優しく出来ない。
「風呂がまだ沸かしてないけど」
何度目かに言われて、
「・・・・お風呂はすぐ沸くけど、おばーちゃん、入るの?」
「わしは、あとでいいけど、パパさんが入るだろう」
「パパやわたしたちは、上(子世帯で)で入るんだってば(もう何度も言ってるし!)」
「そうか」
「で、おばーちゃん、入るのね?」
「そりゃ入るわさ」
「昨日もそう言ってて入らなかったんじゃん・・・・」
「は? なに?」
・・・・・・・・・。
「いい。すぐ沸かすで、待っとって」
「なあ、車の電気がついとるで、消してこないかんよ」
(5分おきくらいに、言いに来るけど、電気なんかついてない。
テイルランプの反射がどーしてもどーしても、気になるようだ)
「だから、ついてないんだってば。反射しとるだけなの!」
「そうか」
そしてまたすぐに、言いにくる。
「だから、ついてないんだってば!!」
お風呂のこと。車のこと。あと、玄関の切れてしまった電球のこと。
パパはもう帰ってきたのか?という質問。
ランダムに、数分おきに繰り返される。
その間にも、何度も玄関を開けて、出ていく気配がする。
その度に、夕飯づくりの手を止めて、おいかける。
「どこいくの!?」
「どっこもいかんよ、ちょっと外に出るだけ・・・」
「もうご飯出来るから、うちにいて」
「そうか」
何度目かになると、もう、声のトーンが変わってしまう。
そんなわたしに、ときどき、祖母も、キレてくる。
「外に出てみるだけだわ!」
そして、夜になると、
「なあ、風邪薬ないか? なんか風邪ひいたみたいだで」
・・・・・・・・じゃあ、フラフラと外に何度も出るなっつーの!
と、わたしは、心で悪態つく。
そして、せっかく沸かしたお風呂も、
「まあ一晩やめとくわ」
・・・・・・・・・・・・あ、そう。
「薬は、ないよ。また、買っておくわ。布団ひくで、もう寝やー」
わたしは、淡々と言う。
ほんとに、風邪ひいてたら、どーするさ。
病院連れていかなくて、肺炎でもおこして、命に関わったら、どーするさ。
仕方ないのは、分かってるし。
よくならないのも、分かってるし。
誰かにグチりながら、吐き出しながら、反省しながら、暮らしていくしかない。
そうして、案外わたしだって、いつか、そうなるんだ。
因果応報。きっと、なるさ。
明日は、もう少し、優しくしよう。
ごめんね。
そう思いながら、夜を迎える。
そう思いながら、ここにいる。
それも、わたしだ。
全部、わたしだ。
どれも、わたしだ。
どれが、ホントとか、どれがイツワリとか、そんなんじゃない。
そう在りたいと思うわたしも、そう在りたくないと願うわたしも。
その全部で・・・・・歌ってるんだよ、きっとね。