「天下一」に魅せられて。
某新聞の「こどもタイムズ」というページがあって、今年はうちの娘ってば、
その記者として登録してあったりします。
本日その初仕事がまわってきまして、四日市にある『秤乃館』という博物館に取材に行きました。
わたしは、保護者としてくっついて行きました。
まさか、秤の博物館に行って、浪漫を感じちゃう羽目になろうとは・・・・(笑)。
まあ、ちょっと聞いてくださいな。
第一印象は、正直、普通の民家に見えた。
失礼だけど、そんなスゴイものだなんて思えなかった。
実際ここに並べてある1000点(実際には7000点近くあるみたい)の秤は、
館長さんが趣味で集めたモノらしい。
サラリーマン時代から、古いモノが大好きだった館長さん。
「お願いだから、なにか1つにしぼってちょうだい」と、奥様に懇願されて、秤を選んだとか。
「初めて友人にもらった銀秤の皿に『天下一』と刻まれてましてね」
その『天下一』の文字にヤラレちゃったらしいです。
『天下一』って、昔のJIS規格みたいなモノなんだけど、正式には、家康さんが一芸に秀でたモノに
与える称号だとか。
とにかく、そこに浪漫を感じてしまった館長さんは、ひたすら秤を集め続けた・・・・。
その銀秤ってね、ギターみたいなカタチの木のケースに入ってるんですよ。
(館長さんは「バイオリンみたいでしょ」と言ったけど、わたしにはギターに見えた)。
10センチくらいのモノから、50センチくらいのモノまで、いろいろあるの。
「ヒトは生まれて最初に、秤に出逢うんですよ」
と、言われて、思い出す。
出産してすぐに、子どもが体重を計られていたコトを。そうか、ホントだ。
「それからずーっと、『はかる』というコトは人生についてまわる」。
銀行の地図記号は、分銅のカタチだってコトも、わたしは今日知ったよ。
その分銅は、シルクロードの繭のカタチ。ルーツは、中国。
「はかる」ってコトから分かる、先人の暮らしぶり。
「人生は、たった一度の舞台なんですよ。諦めちゃいけませんよ、お母さん方」
・・・・・・館長さんは、子どもの将来のコトを言ったみたいだったけど、
わたしは、自分に言われた気がした。
「私は、いま本当に充実した人生を送っています。この子(秤)たちと出逢えたから」。
秤。
弁護士のバッジにもデザインされている。
「ヒトのココロにも、1つずつ秤はあると思いませんか」。
バランスをとるために。
なんのバランスだろう?
善と悪。オモテと裏。ホンネとタテマエ。義理と人情。夢と現実。
『天下一』、か。
そうだよなぁ、「天下」だぜい。小さな島国、ニッポンの片隅で。
そのコトバに魅せられてしまった・・・・・たったそれだけ。
でも、それが全てで、構わないと、わたしも思うから。
小さな小さな博物館に、わたしは今日、感謝しました。