ばんじさいおーがうまさ!

いろいろあるけどさ、まあなんとかなるっしょ!! なんとかしよーぜ!!

ほおばる

朝、自転車に乗って、家を出た。

これでもかの晴天。

でも、風は気持ちよかった。

そのとき、思った。

わたしは、どこへも旅になんか出られないって

ずっと思ってきたけれど、

わたしのココロは、もうずっと、

旅に出ているんじゃないかなあって。

それが確信に変わったのは、

夕暮れだった。

わたしのカラダの中で、

わたしのココロが、どうしようもなく暴れていて、

それは、地団駄踏んで泣いている子どものようで、

なだめてもなだめても、どうしようもなくて。

もう好きにしなさいっ、

って、言い捨てるしかなかった。

そのときに、差し出された、風船1つ。

 「はい、どうぞ」

と、風船が1つ。

暴れていたココロは、きょとんとして、

 「ありがと」

って、その風船を握りしめたから。

うまく説明はできない。

それと、旅と、どう関係があるんだい?

って聞かれても、

わたしには、うまく説明できない。

わたしのココロは、ワガママだ。

わたしのココロは、淋しがり屋だ。

わたしのココロは、泣き虫だ。

でも、わたしにココロがなかったら、

わたしは、歌ったりしないんだ。

ヒトを愛したりしないんだ。

わたしの理性は、年相応だ。

わたしの理性は、つよがりだ。

わたしの理性は、見栄っ張りだ。

そう、わたしに理性がなかったら、

わたしは、ここにはいないんだ。

ヒトに愛されたりしないんだ。

わたしは、毎日、それなりに、

わたしの役割をこなしていて、

それは「自由」とは、かけ離れた場所にいるけれど、

わたしのココロは、いつでも旅人で、

ラーメンを食べたいと思ってる。

ハンバーグを食べたいと思ってる。

公園で腹筋したいと思ってる。

歌いに行きたいと思ってる。

ライブに行きたいと思ってる。

花畑に行きたいと思ってる。

小さな大きなシアワセを、

ほおばりたいと、思ってる。

飲み干したいと、思ってる。

食いしん坊な、旅人なんだ。

自転車に乗って出かけて、

自転車に乗って帰ってきたら、

わたしの旅は終わりだと思ってた。

そうじゃない。

この「ほおばりたい」ココロがある限り、

わたしは、ずーっと旅人なんだ。

風船1つで、月までいける、

かも知れない。