謝る ~心マンパク~
午後シフトの仕事から帰宅したわたしを待っていたのは、
一年生の息子のワケありげな表情。
「なんかあったな? なんかあったな?」
「・・・・・・おこらない?」
「怒るよ^^ とにかく言ってみそ」
息子は渋々話し始めました。
下校の途中、トモダチと小石を蹴っていて、道端の駐車場に停めてあった車に、
当ててしまったコト。
その敷地で畑仕事をしていたお婆さんに、怒られたコト。
名前をきかれて、ちゃんと言ったコト。
それだけわたしに言って、あとはわたしにしがみついて泣いてました。
…さて。
反省しているのは、既に態度でわかってます。
いつもなら、とっくに遊びに行っている時間なのに、わたしの帰りを待っていただけでも、
彼にしてはオオゴト。
でも、小石を蹴らない!というのは、ちょっと前にも注意したコトなんだよなあ。
「じゃあ、今からママも謝りにいくわ」
わたしがそう言うと、息子はギョっとして顔を上げました。
「えっ、オレちゃんとゴメンナサイって言ったよ」
「それでも。車に傷がついていたら、ママにも責任があるから、ちゃんと謝って、
弁償しなくちゃいけないんだよ」
一緒に怒られたというトモダチのお母さんにも電話して、相談しました。
そして、一緒に子どもを連れて、謝罪に行きました。
わたしは、ずっとこの地元に住んでいて、古くからいる家のヒトはなんとなくわかります。
でも、その家のヒトとは面識がありません。
やっぱり、子どものしたコトとはいえ、謝りに行くのって勇気がいるよね。
出てきたお婆さんは、
「おお、昼間の坊たちか! わざわざ謝りにきてくれたんか」
と、驚きながら、わたしたちに状況を教えてくれたのです。
「ガラスでも割れたらいかんと思ってな。でも、ちゃんと謝ってくれたし、
名前も教えてくれたしな。名前きいても、もうわしも新しい家の子はわからんでいかんわ。
でも、泣いてる子もおったしな」
(それ、絶対うちの子だ^^;)
わたしが旧姓を言うと、お婆さんは「ああ、あそこの子か」と納得して、
そこからは世間話になってしまいました…^^;
こんなときにも、わたしは『ミドル』を痛感します。
ああ、真ん中だなあー、町内っていう世界でも。
なんか中途半端なポジション。
…まあそれは、おいといて。
とにかく、一応のケリをつけて帰宅したワケです。
これで「小石を蹴るぐらい、なにが悪いんだよ」と思っていたであろう息子も、
ちったあーダメな理由が身にしみただろう。
怒られるってコト自体が、怖い。
そういうコドモと、そうでないコドモがいるんだよなあって、思う。
うちの息子は、前者。
そして、わたしも、そう。
「どうしよう!!! 怒られる」って思うと、それだけで心がいっぱいになってしまう。
顔が真っ赤になって、消えてしまいたくなる。
でも、消えない。
受け止めるしかない。
そこで、開き直れないから、心が痛い。
ナサケナイといえば、ナサケナイ。
素直といえば、素直。
どういうオトナになるんだろうねえ。
息子の寝顔をみながら思う母でした。
そうして、その数十分後、寝ていた彼は喘息の発作を起こし、
わたしはアタフタと看病する羽目になりました…。
これも、心マンパクになった彼のストレスのせい??
なんて思いながら…
※『マンパク』とは、息子がまだ小さい頃に間違って覚えた日本語のひとつで、
意味は「満タン」「いっぱい」ということです。
もう彼はそんなコトバは使いませんが、わたしがしつこく覚えているのです。